遺産相続の方法は「指定分割」と「協議分割」の大きく2通りがあります。

(1)「指定分割」は被相続人が生前に作成した遺言書の内容に則して遺産分割を行なう方法です。

被相続人が自由に遺産分割の方法を指定できるため、被相続人の希望通りに財産を受け継がせることができます。また、相続人たちが遺産分割協議をしなくてもよいため相続争いを避けやすくなります。

その一方で、遺言書の内容が不公平な場合、不利益を受ける相続人が不満を持ち「遺言書の無効」を主張したり「遺留分侵害請求」が行なわれるリスクがあります。

また、適切な遺言書の形式で無い場合には、遺言書が無効となる場合があります。

    「指定分割」の概要とメリット・デメリット

概要被相続人が生前に作成した遺言書の内容に則して遺産分割を行なう方法
メリット被相続人が自由に遺産分割の方法を指定できるため、被相続人の希望通りに財産を受け継がせることができる
デメリット遺言書の内容が不公平な場合、不利益を受ける相続人が不満を持ち「遺言書の無効」を主張したり「遺留分侵害請求」が行なわれるリスクがある

(2)「協議分割」は協議分割は、相続人たち同士が話し合って決定する遺産分割の方法です。

法定相続分に従った遺産分割が基本的な考え方となるため、相続人全員の公平な遺産分けが可能となります。

その一方で、相続人同士の意見が合わず、トラブルになってしまうケースも少なくありません。

    「協議分割」の概要とメリット・デメリット

概要相続人たち同士が話し合って決定する遺産分割の方法
メリット法定相続分に従った遺産分割が基本的な考え方となるため、相続人全員の公平な遺産分けが可能となる
デメリット相続人同士の意見が合わずトラブルになるケースがある


法定相続分

相続時における不動産の分割方法は「現物分割」「代償分割」「換価分割」「共有分割」の大きく4通りがあります。

分割方法概要想定されるケース
現物分割不動産をそのままの形で分けて相続すること。土地の場合は分筆した上での相続も可能複数の不動産を所有しているケース、また土地を相続するケース
代償分割分割できない不動産を取得した相続人が、相続財産を現物で取得する代わりに、他の相続人に金銭などを支払う方法分割できない不動産を複数で相続する場合
換価分割相続した不動産を売却し、得られた代金を相続人間で分割する方法同上
共有分割相続した不動産を相続人複数人の共有名義とする方法上記の方法での分割が困難な場合

相続人は相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、「単純相続」「限定相続」「相続放棄」のうちいずれかを選択し、相続するかどうかの意思表示をする必要があります。

内容方法時期
単純承認相続人の権利・義務を制限無く承継する 規定無し 
相続を知った時から3ヶ月以内 
限定承認相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務を弁済することを条件に相続を承認する家庭裁判所に申述する(共同相続人の全員が共同して行なう)同上
相続放棄被相続人の財産を一切引き継がない 家庭裁判所に申述する 同上